企業にとって痛手となる従業員の離職。そんな離職の原因として、意外とよくあるのが「金銭トラブル」です。ここでは、従業員の金銭トラブルの事例を紹介しながら、離職を予防するためのポイントをお伝えしていきます。大切な従業員が長く働き続けられる環境を整えるために、ぜひ参考にしてみてください。
従業員の金銭トラブルの例
まずは、金銭トラブルに巻き込まれた従業員の事例をご紹介します。従業員を金銭トラブルから守るために、よくある事例について理解しておきましょう。
- 事例1 従業員同士の金銭の貸し借り
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プライベートでも交流があったという、アルバイトスタッフの学生2名。ある時、学生生活での出費が重なったため、金銭の貸し借りが発生したようです。ところが、その後にお金を借りた側が長らく返済を忘れてしまったため、金銭の貸し借りが人間関係のトラブルへと発展してしまいます。結局、繁忙期に2名のアルバイトの離職を発生させてしまい、職場は大混乱に陥ってしまいました。
- 事例2 従業員による消費者金融の利用
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同僚や上司から頼りにされている、優秀な新入社員がいました。社内では、今後さらに仕事の経験を積み、戦力としての活躍を期待されている存在です。ところが、この新入社員は私的に消費者金融を利用していました。やがて借金の返済に悩みを抱えるようになり、心身の健康を損ねて退職を余儀なくされてしまいます。企業は採用や人材育成にかけたコストを損失し、さらには優秀な人材まで失う結果となりました。
- 事例3 給与の「前借り」
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家庭の事情から金銭的に厳しい状況にあるアルバイトスタッフがいます。どうしても給料日前にお金が足りないといい、まだ働いていない分の給与の「前借り」を要求してきました。そのため、経営者の判断で前借りを許可したところ……結局働いていない分の給与を借りたまま、退職を切り出されてしまったのです。まだ働いていない分の給与の返済をかけて、元従業員とのトラブルに発展してしまいました。
従業員の金銭トラブルを防ぐには?
先程ご紹介した金銭トラブルの例は、あくまで実際に起こり得る事例の一部に過ぎません。ほかにもさまざまな事情から金銭トラブルに巻き込まれるケースがあります。
従業員の金銭トラブルは、仕事とは無関係の私的な問題の範疇を超えて、業務に支障をきたすことがあります。しかし、企業が従業員の家計を監視することはできません。自社では起こり得ない問題と決めつけずに、対策を講じておきましょう。
まず大切なのは、社内での金銭の貸し借りを就業規則で禁じることです。さらに、この規則を従業員に周知しておきます。これにより、貸し借りを依頼された従業員が断るきっかけを作りやすくなり、金銭トラブルの予防につながります。ルール違反をした従業員を処分しやすくなるのもメリットです。
また、従業員への教育を行っても良いでしょう。特に、社会へ出たばかりの新入社員は、そもそも消費者金融やカードローンの仕組みを知らないケースも少なくありません。高い利息がつくことや、ブラックリストに載るリスクがあることなど、利用による危険性も含めて教育を行うと安心です。
金銭トラブル予防で注目される「給与前払いシステム」
「前借り」は、企業からまだ働いていない分の給与を借りることです。そんな前借りとは異なり、働いた実績に応じて給与相当額を随時引き出せる、「給与前払いシステム」が登場して注目を集めています。システムでは、給料日前に給与の一部を必要な金額だけ利用できるため、従業員の金銭トラブル予防につながると考えられています。
給与前払いシステムの最大の特徴は、すでに働いた実績に応じて出金を行う点です。突然の出費に対応しやすくなりますが、前払いは借金ではありません。まだ働いていない分の金額は、引き出すことができないのです。“働いた分だけ使える”という感覚が自然と身につき、家計の健全化が促されると考えられています。
随時払いシステム「ADVASA」をご活用ください
給与相当額の随時払い「ADVASA」は、従業員が働いた実績に応じて、給与に相当する金額を引き出せるシステムです。
導入企業様の事例では、従業員の方の利用金額は少額が多い傾向にあります。あくまで必要な金額のみ、いざという時の備えとしてご活用いただくケースが多いようです。なお、企業様ごとに独自に利用上限額を設定できるなど、金銭トラブルを予防して健全な利用を促す仕組みもございます。
「ADVASA」は福利厚生の一環や、従業員の金銭トラブル予防として導入していただいているシステムです。企業様側には導入のコストがかからないため、安心してお使いいただけます。近年、「前払い」は人材採用においてニーズが高いことから、人材採用での応募数増加のメリットも期待できます。
従業員のセーフティーネットとして活用できるのが、給与前払いシステムの大きな魅力です。企業の将来を担う従業員を金銭トラブルから守るために、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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従業員の金銭トラブルが、離職や揉め事の原因となることがあります。従業員への教育を徹底するとともに、会社として就業規則や救済措置などの仕組みを整えておくなど、対策を講じておきましょう。