ペイロールカードでどう変わる?キャッシュレス化のメリットとは

給与支払いの仕組みを大きく変えるといわれ、注目を集めている「ペイロールカード」。
導入によって国内でキャッシュレス化が進行すると考えられており、人々のライフスタイルに与える影響は少なくないでしょう。今回は、そんなペイロールカードの導入にともなうキャッシュレス化で、どのようなメリットが想定されるかをご紹介します。

ペイロールカードの導入で給与支払いはどう変わる?

2019年6月現在、国内における給与支払い業務は、現金をベースに行われています。多くの企業では、従業員の銀行口座宛てに給与を振り込む形で、給与の支払いが行われているのが現状です。しかし、将来的にはペイロールカードの導入によって、従来の給与支払い業務が大きな変化を迎えると考えられています。

そもそも「ペイロール」とは、給与支払いサービスの総称のことです。その中で、ペイロールカード(給与支払いのためのプリペイドカード)への給与支払いを、日本でも解禁するための議論が熱を帯びています。2018年10月24日に配信された日本経済新聞に記事によれば、2019年中には厚生労働省が電子決済による給与の送金を解禁するという情報もあるようです。

そこで、特にライフスタイルに影響を与えるとして注目を集めているのが、「キャッシュレス化」です。キャッシュレス化とは、主に現金以外の手段によって、金銭の支払いや受け取りを行うようになることを指します。たとえば、クレジットカードや電子マネーによる支払いは、キャッシュレスの一例です。

企業にペイロールカードが導入されることで、給与支払いの選択肢が増え、国内ではキャッシュレス化が進むと予測されています。ところで、キャッシュレス化が進むと、具体的に人々のライフスタイルにはどのような影響があるのでしょうか? ここからは、キャッシュレス化によるメリットをご紹介していきます。

参考:日本経済新聞 電子版「デジタルマネーで給与 厚労省、19年にも解禁」

【メリット1】支払いの効率がアップする

キャッシュレス化が進行すると、店舗での支払いの効率がアップします。

まず、顧客側が得られるメリットは、いちいち小銭を数えて財布から取り出す手間が省けることです。私たちは現金で支払いをするとき、お釣りができるだけ少なくなるように計算しながら、1枚1枚の小銭を取り出しています。キャッシュレスでは、このように小銭を取り出したり、お釣りを計算したりする必要がありません。

その一方で、店舗側も大きなメリットを得られます。キャッシュレスにより顧客にお釣りを手渡す必要がなくなると、小銭の計算ミスをするリスクがなくなります。それだけでなく、レジに現金を入れる習慣がなくなれば、店舗が盗難の被害に遭って現金が盗まれるリスクもなくなるのです。

【メリット2】現金を管理する手間がなくなる

支払いがキャッシュレスになると、現金を管理する手間がなくなるのもメリットです。現金の管理には、意外と多くの手間がかかっています。

まず、現金は紛失したり破損したりするリスクがあります。たとえば財布をなくしてしまった場合、中に入っていた現金が手元に戻ってくることはありません。また、お札は紙でできているため、破けたり水に濡れたりすれば使えなくなってしまいます。キャッシュレス化が進めば、こういったリスクから現金を守るため、物理的に管理するためのコストもなくなるのです。

さらに、現金は不特定多数の人が手で触れるという、衛生面での課題もあります。特に衛生管理の徹底が求められる飲食店では、現金を取り扱う業務と調理を行う業務をそれぞれ別のスタッフが対応しているケースがほとんどです。キャッシュレス化によって、このような衛生面での課題解決も期待されています。

【メリット3】お金の使い道が明確になる

「キャッシュレスは現金が目に見えないため、お金を使いすぎてしまうのではないか」と心配する声もあるようです。しかし、電子決済では自分がどの店舗で何にいくらお金を使ったのかが自動的に記録され、可視化されるようになります。

実際のところ、お金の使い道が不明確になりやすいのは、電子決済よりも現金のほうだといえるでしょう。現金の場合、どの店舗で何にいくらお金を使ったのか、自分で記録する必要があります。万が一記録を取り忘れてしまった場合、お金の使い道のデータはどこにも残りません。

キャッシュレス化により、お金の使い道をお小遣い帳や家計簿などに記録する必要がなくなれば、これまで以上に計画的なやり繰りができるようになる可能性があります。自分のお金の使い方を見直し、家計を健全に保つことに役立つかもしれません。

***

人々のライフスタイルを大きく変えると予測され、各方面から注目が集まっているキャッシュレス化。現金を使わなくなることで、社会のさまざまな場面に変化がもたらされると考えられています。

2019年6月の時点ではまだペイロールが導入されていないものの、今後は給与支払いがキャッシュレス化する可能性もあるようです。新たな給与支払いの仕組みが解禁される前に、キャッシュレスについて理解を深めておきましょう。