「QRコード決済は、各社のQRコードが統一されていないため使いにくい」
そんな状況がすでに過去のものになりつつあります。統一規格であるJPQRが普及すれば、店舗側にも利用者側にも多くのメリットが期待できるでしょう。利便性が向上すれば、国内のキャッシュレス比率がさらに高まる可能性もあります。
ここでは、本格的に運用開始となったJPQRの基礎知識をご紹介します。
統一規格「JPQR」が本格的に運用開始に!
利用者がQRコードを提示する、あるいは店舗で提示されたQRコードを読み取ることで電子決済を行う「QRコード決済」。そんなキャッシュレス手段のひとつであるQRコード決済で、統一規格「JPQR」の本格的な運用が始まります。
2020年4月27日の経済産業省の発表によれば、QRコード決済の統一規格である「JPQR」のうち、店舗提示型が全国で本格的に運用開始となりました。「店舗提示型」とは、QRコードが記載されたポップを店舗側が掲示する方式のこと。これに対して、利用者が端末のQRコードを提示する方式は「利用者提示型」と呼ばれます。
今回、JPQRの店舗提示型に対応したサービスの一例としては、キャッシュレス決済のなかでも特にシェアの高いPayPay・LINE Pay・楽天ペイ(アプリ決済)・d払い・メルペイ・au PAY・Fami Payなどが挙げられます。
上記のほかにも、すでにJPQRに対応したサービスや、今後対応予定のサービスがあります。引き続き経済産業省から事業者に対する呼びかけが行われ、幅広いQRコード決済サービスで普及が進められている段階です。
※参考:経済産業省「コード決済の統一規格「JPQR」の店舗提示型コード決済の本格運用が全国で開始するとともに、「JPQR」の一方式として「請求書払い」を新たに規定しました」
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200427001/20200427001.html
そもそも「JPQR」とは?
JPQRとは、QRコード決済の統一規格のことです。統一規格が決められれば、QRコード決済サービスを提供する複数の事業者が、同じ仕様のQRコードを使用することになります。このようにJPQRの運用が開始された目的は、キャッシュレス導入店舗の負担を減らすことや、利用者の利便性を高めることなどです。
これまでは、キャッシュレス決済で使用するQRコードの仕様が、事業者ごとに異なっていました。たとえば、「PayPayとLINE PayではそれぞれQRコードが異なる」といった状況です。複数のQRコード決済に対応する店舗は、店頭に複数のQRコードを提示する必要があり、これが導入のハードルとなっていました。
一方で、QRコードの仕様が統一されていない状況は、利用者の不便にもつながります。各店舗で導入されるQRコード決済サービスにばらつきがあると、キャッシュレス手段の利用範囲が限定されてしまいます。また、店頭に複数のQRコードが提示されていると、決済時の読み取りの作業で混乱しやすくなるでしょう。
統一規格であるJPQRの登場により、上記の課題の解決が期待されています。QRコードの仕様の統一は、店舗側にも利用者側にもメリットがあるのです。両者の利便性が向上すれば、より幅広い店舗や利用者がQRコード決済を利用しやすくなるでしょう。JPQRの普及がキャッシュレス化のさらなる推進につながると見られています。
JPQRによる「請求書払い」も利用可能に!
ここまでは、JPQRの運用によりQRコード決済の利便性が高まる可能性をご紹介してきました。このほかに、JPQRの方式のひとつとして、キャッシュレスによる「請求書払い」という新しい支払い方法が規定されています。
キャッシュレスの請求書払いとは、請求書に記載されたバーコードを読み取ることで、デジタルマネーで支払うキャッシュレス決済のことです。これまでの請求書払いでは、請求書を窓口に持参して現金で支払いを行っていました。今後は、請求書が手元にあればいつでもどこでも支払いが可能となります。
バーコードの規格が統一されることで、より幅広いサービスでキャッシュレス払いが選択できるようになり、生活の利便性が大幅に向上すると見込まれています。請求書払いは、自治体への支払いでも活用されるよう普及が促進されている段階です。ショッピング以外の多彩なシーンで、キャッシュレス化が進んでいます。
進化を続けるキャッシュレス手段
数あるキャッシュレス手段のなかでも、比較的新しいといえるQRコード決済。2020年には統一規格のJPQRが本格的に運用され、当初よりもさらに利便性が向上する結果となりました。今後も新たなキャッシュレス手段が登場する可能性や、既存のキャッシュレス手段が進化する可能性があるでしょう。
2019年に解禁間近といわれたデジタルマネーによる給与払いの動向にも、引き続き注目が集まっています。給与がデジタルマネーで支払われるようになれば、キャッシュレスのさらなる普及につながるとの見方もあります。また、給与払いに使用されるペイロールカードに搭載される機能も見逃せません。キャッシュレス手段の進化は、企業の業務にも影響を与え得るため、いち早く把握しておきましょう。
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経済産業省から発表された、JPQRの本格的な運用開始。統一規格が使用されることで、これまでのQRコード決済よりもさらに利便性が向上しました。キャッシュレス手段の進化と、国内のキャッシュレス比率の動向に、注目が高まります。