ペイロールカードVS口座振込!利用者のメリットを比較

2019年の給与振り込み改革で導入が見込まれているペイロールカード。従来の銀行振り込みと比べて、利用者である従業員にとっての使い勝手は、どのように変わるのでしょうか? 今回は、ペイロールカードの導入前に知っておきたい、それぞれの給与振り込み方法のメリットについてお伝えします。

利用開始の手続きを比較!

サービスを利用するにあたり、最初に必要となるのが利用開始の手続きです。手続きで問題が生じると、利用が遅れてストレスになったり、結局利用ができなかったりといったトラブルが想定されます。まずは手続きの難易度を比べてみました。

ペイロールカード

誰でも気軽に利用を開始できるのが、ペイロールカードの大きな特徴のひとつです。

ペイロールカードはプリペイドカードの一種であるため、基本的に利用開始時に審査を行う必要がありません。これに対して、クレジットカードなどの審査では結果が出るまでに数日程度の時間がかかる場合があり、また審査に落ちれば利用開始の手続きが不可となってしまいます。

また、ペイロールカードは銀行口座などの登録をする必要がないのもメリットです。クレジットカードやデビットカードの作成では、銀行口座の登録が必須ですが、ペイロールカードは銀行口座と紐付けることなく利用を始められます。

このように、ペイロールカードは利用開始までの手続きをとてもスムーズに行うことができます。

口座振込

口座振込を行うためには、銀行口座の開設が必要です。すでに国内で生活している方のほとんどが銀行口座を持っていると考えられます。しかし、今後働き手として期待されている外国人労働者は、銀行口座を持っていない可能性もあるでしょう。

銀行での手続きは、難易度が高いといわれています。まず、事前に銀行印を用意しなければなりません。窓口で外国語に対応できない場合、日本語でのやり取りが必要です。このように、外国人労働者目線では、ハードルの高さが課題となっています。

日常生活での使い勝手を比較!

買い物やレジャーをはじめとして、日常生活におけるそれぞれの使い勝手を比べてみました。現状、日本ではキャッシュレス化が遅れているといわれますが、将来的に普及した場合も考慮して検討してみましょう。

ペイロールカード

ペイロールカードがあれば、現金を取り扱う必要がなくなります。店舗での支払いでいちいち小銭を数えなくて済みますし、手元に現金がなくなってATMで引き出すといった手間もかかりません。

デジタルマネーは実店舗でもオンラインストアでも利用可能です。ただし、国内には現状プリペイドカードをはじめとした支払い方法に対応していない店舗もあることから、不便を感じるケースがあるかもしれません。

家計を管理するうえでも、デジタルマネーは非常に便利です。利用した金額が自動的に記録され、お金の出入りが明白になります。お金の使いみちを家計簿に転記する必要がなくなり、管理の手間が減る可能性があります。

口座振込

口座振込では、ATMで現金を引き出してから利用します。常に現金を持ち歩く必要があり、お釣りの計算などの手間がかかります。ATMは利用できる時間帯に限りがあり、また場合により手数料が発生するのも難点です。

現金は基本的にすべての実店舗で利用可能です。ただし、すでにデジタルマネーのみ対応の店舗が登場しており、今後は現金が使えない店舗がさらに増える可能性があります。オンラインストアでは銀行振り込みが可能ですが、手数料が発生することから、使い勝手には課題があるといえるでしょう。

また、現金は利用記録が残りません。お金の使いみちは家計簿で管理するなど、自分で記録する必要があります。

セキュリティ面を比較!

デジタルマネーを利用するうえで多くの方が気にするセキュリティの問題。現金と比べて、セキュリティ面にどのような違いがあるのか比較しました。

ペイロールカード

ペイロードには、第三者の不正使用を防止する、今度なセキュリティ機能が搭載されています。万が一、カードの紛失や盗難のトラブルが発生した場合、再発行などの対応が可能です。セキュリティが高く、安全に使用できるといえます。

口座振込

現金は、紙幣や貨幣という実体があることから、セキュリティ面で安心感を抱かれやすいものです。ところが、財布の紛失などで第三者に現金を奪われた場合、被害額は補償されません。特に、高額の現金を持ち歩く場合にはリスクが高くなります。

ペイロールカードで進むキャッシュレス化

企業のペイロールカード導入により、今後キャッシュレス化が進むと見込まれています。2019年に改正される労働基準法では、ペイロールカードまたは口座振込を従業員が選択できるようにすることが、条件のひとつに盛り込まれるようです。

ペイロールカードは、主に外国人労働者の採用におけるメリットが大きいと考えられています。日本語での対応や申請が求められる銀行口座開設は、外国人労働者にとって難易度の高い手続きです。ペイロールカードの導入によって、口座開設をしなくても従業員への給与支払いができるようになると期待されています。

今後も給与支払いは、原則として銀行振り込みによって行われる方針です。ただし、アルバイトやパート従業員、外国人労働者のニーズなど、自社で働く人材の要望を的確にとらえ、必要に応じてデジタルマネーでの支払いに対応していくことが求められるでしょう。

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ペイロールカードは、従来の銀行振り込みと比べて多くのメリットが期待できます。外国人労働者をはじめとした人材の確保へ向けて、今後ペイロールカードを導入する企業が増えると考えられています。ペイロールカードの導入で利用者にどのようなメリットがあるのか、2019年の改革前に把握しておきましょう。