第二創業ADVASAの社会課題に対する取り組み

ADVASA創業者小杉朝光は、貧困、子育て問題、「社会課題の解決」と「持続可能な成長」の両立を目指すインパクトスタートアップ(社会的企業)の創出、そして風評被害、誹謗中傷における自死問題を重点領域として解決に支援、寄付をしていきます。

ユナイテッド・アース様への寄付を継続させていただき、お役に立てるよう尽力してまいります。
(支援、寄付先:特定非営利活動法人ユナイテッド・アース_https://united-earth.jp/partner/

 2010年のご縁から、2011年には東日本大震災の復興支援として現地へ入り、目の当たりにした風景は今も脳裏に焼き付いています。以来、ユナイテッド・アース様の国内外の素晴らしい取り組みに感銘を受け微力ながら携わらせていただき、私として何ができるのか、ユナイテッド・アース様の新生社会づくり十策にもあります、子どもを守り健やかに育む社会(低所得問題)、産業の創出と所得の向上(仕事をつくる)について取り組んでまいります。

 貧困問題について、6人に1人の子どもが極度の貧困の中で暮らしているということは、6人に1人の子どもが生きるだけで精一杯の状況だということです。

 子どもは世界人口の約3分の1を占めていますが、極度の貧困下にある人々の約半数は子どもです。また極度の貧困状態に陥る可能性は、子どもが大人の2倍以上です。そして日本は、欧米をはじめとした先進国の中で、相対的貧困率が高いことが問題となっています。日本の子どもの6人に1人が貧困となり、ご飯を食べられず、親の収入に左右され教育を受けられないため居場所がなくなり、結果的に子どもの可能性や選択肢が奪われていきます。

 ひとり親世帯の約半数が相対的貧困状態となり、母子世帯の数が父子世帯の6倍近くになっています。シングルマザー家庭の約8割が養育費をもらえていない現状もあります。日本ではシングルマザーの貧困率が高い理由として、社会からのシングルマザーに対する偏見が挙げられます。

 貧困の家庭・格差は連鎖すると言われます。教育機会の差として、学力向上のために塾、私立学校を受験させることが一般的になりました。年収が100万〜200万円台の相対的貧困家庭では、子どもがこうした教育を受けることは難しく、教育機会の差は、貧困家庭とそうでない家庭との間で、学歴、就職、収入などあらゆる面で格差を広げて、連鎖を生じさせています。

2014年から施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」では、次のような目的が定められています。
「この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。」

 子どもの貧困は日本社会としても大きな損失です。「日本子ども支援協会」によると、子どもの貧困が社会に与える損失は42.9兆円にも上ると言われています。貧困を断ち切ることは個人的な問題ではなく、社会全体の問題として考える必要があります。
(参照:NPO法人日本子ども支援協会「子供の貧困問題」)

政府が、閣議決定した「スタートアップ育成5か年計画」では、環境問題や子育て問題などの社会的課題の解決を目的に起業する社会的起業家、インパクトスタートアップへの投資手法となるインパクト投資の促進がうたわれ、スタートアップ育成にインパクト投資という手法を積極的に活用する方針が示されました。インパクト投資はスタートアップとの相性が良く、金融庁が主導する形で、インパクト投資の促進のための環境整備が進んでいます。インパクト投資への共通理解が形成され、投資人材の厚みが増すことは、スタートアップ育成の切り札となると考えられています。

(参照:デロイトトーマツ「インパクト投資をスタートアップ育成の切り札に」 https://faportal.deloitte.jp/institute/report/articles/000776.html

インパクト投資の規模は急速に拡大しており、2022年の市場規模は世界で1兆1640億米ドルと推計されています(参照:GIINsight: Sizing the Impact Investing Market 2022|GIIN)。また、一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は、日本における2021年度末時点のインパクト投資残高が5兆8480億円であると発表しました(参照:日本におけるインパクト投資の現状と課題 2022年度調査報告書 p.9|GSG国内諮問委員会)。

2040年に向けて世界的に成長分野とされるのが、社会課題をテクノロジーの力で解決するインパクト投資領域です。

なぜ、インパクト領域のスタートアップは成長するのでしょうか?
・成長の余地が大きい
・社会課題の複雑化とともに市場が拡大する
・若い起業家の卵が多い
・国内Z世代調査によれば、社会課題を強く意識しているZ世代ほど起業を志す人が多い
・地方の雇用に役立つ
・東京などの大都市以外で起業しているスタートアップが多い

インパクト領域のスタートアップには、他領域の成長に関する「特徴」もあります。
・投資家側の理解を得にくい
・社会貢献=「儲からない」という先入観がある
・アメリカでは、社会的事業の初期ステージに投融資できる、「忍耐強い資本(PATIENT CAPITAL)」を供給する財団があり、税制優遇措置などが存在する

一方で日本は、インパクト投資ファンドの数が初期ステージからレイターステージ全てで少なく、また優遇制度が弱いと言えます。

いま世界的に成長するインパクト領域において、日本は、その分野において圧倒的な可能性を持っています。いわゆる「社会課題先進国」として、高齢化や地域の活性化など、解決すべき課題のフィールドを実際に持っているからです。いまこそ課題先進国であることを「強み」と捉え、「社会課題解決」と「経済成長」を対立構造ではなく未来をより良くするための「両輪」として、持続的に成長できる枠組みを作っていくことが必要です。

それこそが岸田総理の掲げる「新しい資本主義」の姿なのではないでしょうか。

新しい資本主義におけるスタートアップ支援策において、いま世界的に急速な成長を遂げようとするインパクトスタートアップ向けの支援策として以下の4点を盛り込むよう提言されました。また、スタートアップ育成5か年計画において「インパクトスタートアップ」のエコシステム整備ロードマップに、スタートアップ支援に関する充実した支援策が書き込まれました。

1)インパクトスタートアップに対する、認証制度および国際認証取得支援
・インパクト目線のスタートアップ支援育成プログラム創設(J-Startupのインパクトスタートアップ版)
・B Corpブランチの東京誘致、スタートアップに対するB Corp取得支援

2)インパクト投資の優遇
・インパクトスタートアップへの投資に関して損金算入を可能にするなどの税制優遇

3)休眠預金活用や寄付・ふるさと納税などを活用した、「忍耐強い資本」の創出
・休眠預金を出資貸付に活用できるようにし、シード期のインパクトスタートアップへの出資を拡大
・ふるさと納税の適用範囲拡張、富裕層のベンチャーフィランソロピーへの税制優遇など忍耐強い資本を増やす

4)自治体ごとのニーズと認証企業のマッチング支援
・地域の社会課題解決を行える認証企業と自治体側の持つニーズとのマッチングを行うためのポータルサイト

(引用:スタートアップ5か年計画に関する提言 ~インパクトスタートアップ当事者の立場から~)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/suikusei_dai1/siryou9.pdf
(参照:スタートアップ育成5か年計画において「インパクトスタートアップ」のエコシステム整備ロードマップが示されました|インパクトスタートアップ協会https://note.com/impact_startup/n/ne8c9578c5677

(参照:スタートアップ育成ポータルサイトhttps://www.cas.go.jp/jp/seisaku/su-portal/index.html

日本のスタートアップが、米国レベルに近づくことを目標にしたスタートアップ躍進ヴィジョン。

具体的には、4年後(2027年)までにスタートアップの裾野、起業の数を10倍にするとともに、最も成功するスタートアップのレベルも10倍に高めます。目標を確実に達成するために、それぞれについて以下のKPIがを設定されました。

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■裾野=起業の数を10倍にする
スタートアップの数を10倍=約10万社に
スタートアップへの年間投資額を10倍=約10兆円に

■高さ=レベルを10倍にする
ユニコーン企業数を10倍=約100社に
ユニコーンから更に飛躍したデカコーン企業数を2社以上に

(引用:スタートアップ躍進ヴィジョン ~10X10Xを目指して~ https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/024.html

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日本のスタートアップが成長できず、世界で通用しない原因の一つに、圧倒的に資金供給が少ない点が指摘されています。未上場株式に関連する取引市場などの制度が海外に比べれば未整備です。内閣府が2022年に公表した資料(スタートアップエコシステムの現状と課題)では、ベンチャーキャピタルによる2021年の調達額は、米国では36兆円、中国では14兆円ほどですが、日本は年間8000億円程度に過ぎません。加えて、日本経済新聞2021年度の調査によると、スタートアップへの投資額は実に米国の100分の1の規模です。

日本ではスタートアップが成長できない背景として、売上、利益のマネタイズができた後の延長線でしか資金提供ができず、必要な時にリスクマネーの供給がない点や、サラリーマン制度による責任を回避して、リスクをとることへ働かない点も日本のVCが米国のようなユニコーン、GAFAMを生み出せていない理由として内閣府の資料で報告されています。また、世界を基準とした企業価値評価の知見の不足から、世界で戦う資本政策を理解できる経験者が少ないこともあります。

株式の希薄化から必要資金の調達、ランウェイができなくなり、ひいては友好的なM&AのEXITではなく、優越的地位の濫用による技術、営業機密の盗用、買い叩き、特許侵害に至るまで大きな問題になっています。スタートアップは取引の停止からの風評被害、事業連携が打ち切られるなどの今後の取引への影響等を懸念しています。それを受け入れざるを得ない場合には、正常な商慣習に照らされて不当に不利益を与えることとなるおそれがあり、優越的地位の濫用(独占禁止法第2条第9項第5号)に該当してしまうため、スタートアップ潰しが根深くあり現状が隠されてしまっています。

(参照:公正取引委員会が取り組み強化中 「優越的地位の濫用」のリスクと留意点を確認する。SMBCコンサルティング株式会社 ソリューション開発部 経営相談グループ https://infolounge.smbcc-businessclub.jp/articles/948

(参照:スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針 公正取引委員会 経済産業省 https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/startup.html

日本のスモールIPO(新規に上場する株式)に対する問題についても話題に上がっています。小さなIPOのため大半が個人投資家となり、上場後の資金調達が難しい状況にあります。日本のIPOでは、初値(上場初日に成立する株価)が公開価格(上場時の販売価格)を大幅に超えることが多い傾向です。

初回の成立価格が初値天井のケースも多く、投資家は上場と同時に売ることで多くの利益を得られます。そのため、企業の大半は上場後に株価を大きく下げ、その後の資金繰りに苦しみます。新興上場企業のうち、約9割が公募増資・第三者割当増資を一度も行えておらず、IPO時に十分な調達もできないため、その後の成長が鈍化しています。

スタートアップへの資金とともに優秀な人材の循環の必要性が指摘されるなか、IPOを目的、ゴールとするのではなく、スタートアップのイノベーションと大企業との提携による共存共栄から更なる成長を促し、ステークホルダー、社会への還元をしていく世界基準を理解する、人材への教育、意識改革が必要です。米国では、スタートアップのイノベーションと大企業のリソースを掛け合わせたM&AがEXITの9割となっており、その後も大きく成長をしています。日本のスタートアップは、米国の100分の1のM&Aしか成立せず、8割近くがIPOの偏重EXITとしてIPOが目的になってしまっています。

【M&AによるEXITの意義】
・スタートアップエコシステムの確立には、人材・資金を循環させるメカニズムが必要
・そのためには、M&AによるEXITを増加させることが鍵
・M&Aにより買収した企業がビジネスを継承すると、起業家が経営から離れることができるため、シリアルアントレプレナーになることやその他の領域への転⾝が可能
・人材の循環
・資金の循環
・起業家がキャッシュを得られるため、エンジェル投資家となり、次の投資につながる
・VCは早くトラックレコードを積み上げ、次のファンドレイズがしやすくなる
・M&Aにより買収した企業がビジネスを継承すると、起業家が経営から離れることができるため、シリアルアントレプレナーになることや、エンジェル投資家として、スタートアップへのリスクマネーのエコシステムの好循環が構築
(出所:平成28年度産業経済研究委託事業(リスクマネー供給及び官民ファンド等に関する国際比較調査研究))

【IPO】
・IPO後も経営から離れられず、シリアルアントレプレナーとなることやその他の領域への転身ができない
・人材が循環しにくい
・資金が循環しない

一方、国内の状況としてIPO後も経営から離れられず、シリアルアントレプレナーとなれず、IPOでは起業家がキャッシュを得にくいため、新たにエンジェル投資家となることによるスタートアップへの投資につながらないことが問題として上げられています。

【スタートアップ政策の位置づけ】

・新興企業であるGAFAMが米国の成長をけん引。スタートアップは成長のドライバーであり、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手】
・世界で戦えるスタートアップを早急に創出しなければ日本と世界の差は開くばかり
・安定を求め、リスクをとらない、これまでの経済社会の制度・慣行、組織体質の変革を含め、政府が一歩前に出て、スタートアップが迅速かつ大きく育つ環境を整備する必要がある

【日本のスタートアップが置かれている状況】
・日本もユニコーン(企業価値10億ドル超の非上場企業)を創出しているが、そのスピードは、米国のみならず中国やインドにも及ばず、世界との差が開いている状況
・米国等では、デカコーン(100億ドル超) ヘクトコーン(1000億ドル超)と呼ばれる企業価値の大きいメガスタートアップも存在しており、数に加え、大きさでも世界と差が生じている

【現状認識と課題】
・研究成果が事業化しない
・製品開発、市場投入の各段階を支える資金が不足
・技術・アイデアを事業につなげる研究者の意識や経営人材・伴走者が不足
・米国と比較すると、日本は特許出願数に比して、スタートアップの設立数が少ない傾向
・技術シーズがあるにもかかわらず、それが事業化につながっていない可能性
・基礎研究から事業化に至るまでには、製品開発フェーズに至る上での関門(魔の川)と事業化フェーズに進むための関門(死の谷)を乗り越える必要がある
・事業化を目指す技術シーズが高度であると、これらの関門を乗り越えるハードルが高くなる
・プレシード・シード期への投資が限定的
(出所:VEC「ベンチャー白書2020」、NVCA「YEARBOOK」)

・日本におけるVCの事業化前段階(プレシード・シード期)の投資は限定的
・新たな技術の実用化・商用化という観点から、プレシード・シード期の投資を増やす必要がある
・助成金(グラント性資金)が限定的
(出所:AMED「AMEDデータブック第一期中期経営計画期間(2015-2019年度)」、文部科学省「令和元年度大学等におけるベンチャー創出支援体制の実態に関する調査報告書」、
innovosource 「The Mind the Gap Report 2020」)

・研究開発に取り組むスタートアップにとって、事業化・収益化の見通しが立っていない創業期の資金調達手段として、助成金(グラント性資金)は有力
・米国と比較して日本におけるグラント性資金の供給は限定的
・長期に成長を支える資金の不足
(出所:経済産業省 「令和2年度大学発ベンチャー実態等調査」)

・研究開発に取り組むスタートアップは、事業化まで時間がかかることから、投資から回収までの期間が長期化する(10年以上となる)傾向
・大学VCは運用期間が比較的長期であるが、民間VCの運用期間は10年が一般的で、研究開発に取り組むスタートアップと期間の目線が合わない
・資金供給量の不足
・研究開発型スタートアップによる資金調達額の上位を比較すると、米国と大きな差がある
(出所:STARTUP DBより経済産業省作成 )

【現状認識と課題:迅速な成長・市場展開が不十分】
・グローバル展開を行う意識・ノウハウ・制度理解が不足。国内に閉じた事業展開
・革新的製品・サービスであるが、足下では国内市場が成熟・存在していない
・国内市場規模は今後、相対的に減少する見通し
・スタートアップが大きく成長するためには、海外市場にも展開する必要がある
・日本が世界のGDPに占める比率は下がっていき、 日本の生産年齢人口の推移は2050年には約30%の減少
(出所:World Bank、OECDの長期GDP予測、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位(死亡中位)推計)
・スタートアップの海外進出動向
(出所:STS採択事業者へのアンケート結果より経済産業省作成)
・シード期の研究開発型スタートアップ支援事業の採択者へのアンケートの結果、大半のスタートアップは海外進出の意向があるが、実際に海外進出ができているのは僅か

【海外の市場獲得に向けて】
・海外展開における課題は情報・販路・信用・経験・現地パートナーの不足。また、言語・規制・慣習・文化などが国毎に異なるため、政府・関係機関も含めた関係性構築が重要
・スタートアップの海外進出については、海外PE、グローバルVCの誘致、海外日系VCの活用など、現地の有力支援者との連携が重要。また、国内人材に国際経験を積ませるだけでなく、現地のSU等との協業や、現地での人材採用・育成も強化する必要がある

【市場創出における現状と課題】
・スタートアップが提供する革新的な製品・サービスに対する市場が十分にない段階で、政府・地方自治体が主導して、市場・需要を創出していくことが重要
・各省がスタートアップの技術開発を支援し、調達につなげる仕組み(SBIR)を整備したものの、敢えてリスクを負って既存の技術開発の計画を崩し、スタートアップと連携を行うインセンティブが小さい状況に変化はなく、SBIR活用による政府調達も進んでいない。2020年に有人月面着陸機の開発と実証ミッションを対象とし、SpaceX、Blue Origin、Dyneticsとの3社を選定後、2021年に契約先としてSpaceXに決定、約3100億円受注
(出所:「令和3年度特定新技術補助金等の支出の目標等に関する方針について(閣議決定)」、 SBA「2019 SBIR AND STTR ANNUAL REPORT」)

【現状認識と課題:資金の絶対量の不足】
・機関投資家からの資金供給が進んでおらずファンドサイズが小さい
・海外からのリスクマネー供給が限定的
(出所:CB Insights「State of Venture」)

・スタートアップへの投資金額は、米国と比べ大きな差が存在
・スタートアップの急激な成長を支えるために、リスクマネー供給を拡大する必要がある
(出所:平成28年度産業経済研究委託事業(リスクマネー供給及び官民ファンド等に関する国際比較調査研究)、経済産業省ヒアリングをもとに作成)

・日本のVCは、ファンドサイズ・ディールサイズともに、米国に比べて小さい
(出所:一般財団法人ベンチャーエンタープライズ「ベンチャー白書2020」、 Preqin 「Overview of the US Venture Capital Industry December 2015」)

・米国では、年金基金・大学基金がVCの出資者の4割程度を占める
・一方、日本では、金融機関の出資が主であり、年金基金の出資は僅少

【海外からのリスクマネーの流入の現状】
・国内スタートアップに対し、海外投資家からの投資は限定的な状況
・グローバルトップVC の支店が日本には存在していない
・海外VCの拠点が現地にあるかどうかが投資件数に大きく影響しており、海外VCを
呼び込む方策を検討すべきではないか
・イスラエルは、民間VCがスタートアップに出資する際、政府系ファンド(YozmaVC)が共同出資し、条件付きでYozmaVCの持ち分を一定金額で買い取れるスキームを構築
・多くの海外VCが活用。YozmaVCの出資が呼び水となり、民間VCによる資金調達が
大きく拡大
(出所:Yozma Program 15-Years perspective)

・韓国は、KVIC(政府系ファンド)の下に、海外VCへLP出資を行うファンド(FVCIF)
を設置し、海外VCを国内に誘致
・海外VCと連携した韓国スタートアップへの投資拡大
(出所:Korea Venture Investment Corp. HP)

【現状認識と課題:資金の流動性の不足】
・EXIT(出口戦略)の選択肢・機会が限定的(M&Aが少なく、IPO偏重のEXIT)
・非上場株式の流通・取引が僅少
・日本のスタートアップのEXITはIPOが大半を占め、M&AによるEXITの選択肢が限定的
(出所:ベンチャーエンタプライズセンター「ベンチャー白書2021」)

【IPOの状況】
・ IPO時の調達額について、日本は米国と比べて小さい
・IPO時に十分な調達ができないため、その後の成長が鈍化
・マザーズ上場企業のうち、約9割が公募増資・第三者割当増資を一度も行っていない
・上場後の成長投資や資金調達に構造上の課題が指摘される
※2011~2021年の実績。2021年12月17日時点で各市場に上場している企業のうち、2011年以降上場後に公募増資・第三者割当を実施した回数を集計して分類

(出所:Bloombergより経済産業省集計、経済産業省によるヒアリング)
(出所:Capital IQ、Dealogic、赤石篤紀「新規株式公開前後の業績パフォーマンスと株式所有構造の変化」)

【スタートアップM&Aの現状】
・日本は、スタートアップM&Aの件数において欧米に大きく差がある状況
・スタートアップエコシステムの確立には、人材・資金を循環させるメカニズムが必要
・そのためには、M&AによるEXITを増加させることが鍵
(出所:三菱総合研究所(2019)「大企業とベンチャー企業の経営統合の在り方に係る調査研究」)
(出所:平成28年度産業経済研究委託事業(リスクマネー供給及び官民ファンド等に関する国際比較調査研究))

・米国でのスタートアップM&A活用状況
・米国においても、IPOによるEXITが多かったが、30年近く経てM&AによるEXITが増加
(出所:National Venture Capital Association, SPEEDA databaseより経済産業省作成)
・各国のM&A支援策
(出所:令和元年度 戦略的基盤技術高度化・連携事業(ユニコーン創出に資する中小企業・スタートアップの海外展開及び資本政策のあり方に関する調査事業)最終報告書)

【課題のまとめと検討の視点】
・スタートアップエコシステムが有する複層的な課題を、一つの側面だけではなく、網羅的に解決していく必要があるが、まずは、課題の大きさ×ガバメントリーチを踏まえ、政策効果の大きい課題に戦略的に取り組むべきではないか
・シンガポールでは、民間企業のスタートアップM&Aに対する、政府支援策が存在
・政府系ファンドによるメガスタートアップのGrabの事例
・シンガポール型エコシステムを日本においても導入し、スタートアップM&Aを促進する施策が必要ではないか

【論点の整理】
・起業の促進
小中高・大学等、どの段階でどのような起業家教育を行うことが有効か
創業時における資金調達環境は、どの点に課題があり、どういった政策支援が有効か

・人材流入促進
日本は、労働市場の流動性が低く、大企業からスタートアップに人材が移動しない状況を踏まえ、スタートアップで人材が活躍するために、雇用慣行の在り方をどのように考えていくべきか
大学発スタートアップに不足する経営人材をどのように供給すべきか
市場・需要の創出

・政府支援
政府・自治体が主導してスタートアップが提供する革新的な製品・サービスを積極的に購入することは有効な政策。その場合、どのような分野で政府調達を強化すべきか
スタートアップの海外展開に際して、どういった政策支援が有用か
どういった規制がスタートアップの成長を阻害するのか。あるべき規制の在り方はどういったものか

・海外プレイヤーの呼び込み
リスクマネー供給やスタートアップ海外展開の観点から、海外機関投資家を呼び込むことは有効な手段と言えるか。海外の優秀な人材を起業家等として呼び込むことは有効か
 海外の機関投資家・人材の呼び込みについて、どのような政策支援が有効と言えるか

・リスクマネー供給拡大
リスクマネーは、ここ数年で供給が増えつつあるが、公的資金を活用したリスクマネーの供給をさらに強化する必要はあるか。その場合、プレシード・シード期の投資、研究開発型のスタートアップの成長投資など、どういった領域のリスクマネー供給を強化すべきか

・資本市場の活性化
大企業またはスタートアップ同士によるスタートアップM&Aを促進するためには、どのような政策支援が有効と言えるか

・スタートアップに関する基礎資料集
令和4年10月
内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/suikusei_dai1/siryou3.pdf
スタートアップ | Policy(提言・報告書) | 一般社団法人 日本経済団体連合会 / Keidanren
https://www.keidanren.or.jp/policy/StartUp.html#scoring

【アメリカでは、なぜGAFAのような巨大企業が次々と誕生するが、日本ではスタートアップ、ユニコーンが少なく生まれないのか】
・国内スタートアップが少ない理由は、「資金調達の難しさ」や「起業家マインドが育ちにくい風土」にある。アメリカのスタートアップが多い理由は「資金調達手段の豊富さ」や「起業家教育の充実」にある
・日本は技術力があるにもかかわらず、それがスタートアップに結びついていない状況
・これらの技術は日本で日の目をみることはなく、海外企業が実用化して富を生み出すとともに、社会変革を先導
例1) 量子コンピュータ: (原理)東工大 (世界初の実用化)Dウェーブシステム社(カナダ)
例2) 3Dプリンター : (特許)名古屋市工業研究所 (世界初の実用化)3Dシステムズ社(米国)

【大学強化とスタートアップ強化はイノベーションの両輪】
・大学からの質の高い研究成果と人材の輩出によるスタートアップ創出がエコシステム形成の土台
※「大学ファンド」創設により、これを加速
・VC・スタートアップの各要素を含めてエコシステムを抜本強化することで、はじめて「宝の山」をイノベーションにつなげることが可能となる

【グローバル市場進出に必須の大型投資(レイター)の投資は致命的に少額】
・我が国の競争力は、過去30年間で著しく低下
・株式市場は成長せず、実質賃金は増えておらず、今やOECD平均、韓国、イスラエルの値よりも低い
※この他、日本の一人当たりGDPも低迷(OECD統計)

(引用:スタートアップエコシステムの現状と課題内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局)

日本のスタートアップが米国、世界レベルでユニコーン、デカコーン、ヘクトコーンを生み出し活躍するには、知的財産戦略を深く理解して整備していく必要があります。
先進的企業の資産ウェイトは有形資産から無形資産へと大きくシフトしており、グローバルな市場での競争における知財戦略の重要性はかつてないほどに高まっています。S&P500企業のバランスシートにおける資産の価値は、その大半が無形資産によって占められるようになっており、2018年にはグローバルトップ5企業GAFAMの総資産の8割以上が無形資産となっています。優れた知財戦略は、知財を取り巻くリスクに適切に対処しているかどうかとあわせて、投資家の関心事となっています。
(参照:知的財産に関するソリューションAON https://www.aon.com/japan/ip

知財で企業価値として評価できるのは1~2%、それ以外は価値を持ちません。今までの属人的な作業のため、費用、時間もかかり、個人的な見解による偏りが大きく精度が安定しないレベルからリスクに晒されていましたが、膨大な実績、経験豊富なプロ特許評価専門家の知見をデータベース化してAIと掛け合わせ、数値的根拠に基づいた極めて精度の高い評価が可能になっています。

(参照:デロイトトーマツとIPweが協業し、特許の価値を 可視化し、知的財産で経営に貢献するサービスを拡充|ニュースリリース|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20231006.html

Googleの特許調達におけるモトローラ・モビリティ買収の事例からも、財務諸表だけでは投資判断として企業価値評価が見抜けない特許の価値を定量的に可視化し、知財の観点から企業価値を判断できるAI技術、経験、能力を複合的に掛け合わせたアドバイザリーサービスが、米国では圧倒的に発達していることがわかります。

Googleをはじめとする企業は、事業強化のためにマーケットから知財を調達することを活発に行っています。日本企業としても、新しい事業のための特許が必要となった場合は、企業買収・知財購入による外部調達を進めて早急に特許ポートフォリオを補強することを、選択肢の一つとして取り入れることが重要になってくると考えられます。

特許価値からの企業評価による大型のM&A成功例、1億ドル以上の特許担保ファイナンスもある、特許先進国から制度だけではなく、ビジネスの考え方、文化・風土を学び、リスクを許容して即実践していくスピードが必要です。スタートアップ躍進ヴィジョン、スタートアップ5か年計画、インパクトスタートアップで研究された具体的な素晴らしいフレームワーク、ロードマップが示されましたが、現実的に本質的な問題としては、出る杭は打たれる文化が色濃くあります。日本のスタートアップからユニコーン、世界的企業が生まれない背景には、世界を変えるイノベーションを起こすことを発明したスタートアップ潰し、大きなリスクが存在しているのは明らかです。

政府も大きな問題として取り組みんで優越的地位の濫用から、アイデア、技術の盗用をしたNDA違反、また虚偽風説流布業務妨害、偽計業務妨害、信用毀損、名誉毀損、そしてスタートアップを狙った金銭的強要、脅迫といった様々な行為が存在し、毅然とした姿勢で戦う必要が生じています。

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【大企業による中小企業の特許潰し問題】
大企業はなぜ、中小企業の特許潰しをするのか。「ユニクロを特許侵害で訴えた下請け社長語る『ゼロ円でライセンスを要求された』」は複数の大手メディアでも報じられ、日本の特許実務家の多くは「大企業は中小企業の特許潰しをする」ことは珍しくないことを知っており、なぜ大企業が中小企業の特許潰しをするかも多くの特許実務家は説明できるであろう。
とはいえ、「大企業がなぜ、中小企業の特許潰しをするのか」を、経営的な視点、特に企業にとってのリスク・コストから説明している例は少ないため、以下、いわゆる “費用対効果” の視点から、大企業が中小企業の特許潰しに動く理由を説明する。

【特許を取得し、権利行使するための費用】
 そもそも中小企業が大企業を相手に特許権侵害訴訟を提起することを想定する場合、中小企業は特許権を取得しておく必要がある。特許実務家であれば誰もが知る通り、特許権を取得するには一定の専門知識、経験が必要である。そして、弁理士に特許権の取得代理を依頼すれば、1件の国内特許を取得するために、代理人に支払うサービス料金と特許庁に支払う印紙代を含めて約100万円の費用がかかる。
また、特許を巡る係争が生じた場合、無効審判が請求されることはよくあるが、無効審判が請求された場合の対応にも通常は特許の専門家が必要とされ、その費用は100万~300万円程度となる。この「数百万円」という費用は、大企業にとっては日常的に支出できる程度の「小金」であるが、中小ベンチャー企業にとってはおいそれと支出することは難しい大金である。

数百万円から 1000 万円程度かけて無効資料探しを行えば、ある程度、「使えそう」な無効資料を得ることができる。つまり 1000万~2000万円程度あれば、特許を潰す目途は立ち、この程度の費用は大企業にとっては支払いうるものであるのに対し、無効審判を請求される中小企業にとっては、審判を継続する数百万円という費用は重くのしかかる。

少し古いが2015年3月に開催された知財戦略本部 検証・評価・企画委員会知財紛争処理タスクフォースの配布資料「知財紛争処理に関する基礎資料」には、特許権侵害訴訟における損害額の日米比較がされている。米国の特許権侵害訴訟では敗訴した場合、数百億円を超える賠償金の支払いが課され、1000億円オーダーの賠償金の支払いとなることもあるのに対し、日本の賠償額は高くても10数億円程度である。

日本では、特許権を潰しにかかるのが金銭面だけを考えれば合理的な判断となる。

ディスカバリー制度を持つ米国では、訴訟が開始されるとその継続に億円単位の弁護士費用が必要となり、権利者が勝訴した場合の賠償額は 3 倍賠償制度によって数億円、数十億円は当たり前、場合によっては数百億円、1000 億円を超えることもある。であれば、特許権を購入する、ライセンスする、企業ごと買収する方が合理的である。

結果、米国では資金力が乏しい中小企業であっても、大企業を「刺せる特許」を持っている企業に対して特許潰しに動くことは、大企業にとっても大きなリスクになる。このため、権利を購入したりライセンス契約をしたりすることが合理的な選択となりうる。

すなわち米国では、「知恵のある無名の企業」が、特許を武器に大企業に挑み、勝利をおさめるという、池井戸潤氏が描いた『下町ロケット』の世界は現に存在している。

【特許・知財に広がる不正確な知識とプロフェッショナルの現場知識】
近年、再び特許に注目が集まる中、特許に真に精通しているとは言えない人々、まだ特許の「プロ」と呼ぶに足りない経験値の低い専門家などが特許の「効用」や「使い方」などについて、特許の実態に通じたプロフェッショナルからすれば首を傾げたくなるようなアドバイスを行う例も散見される。
例えば、企業知財を経験していない特許事務所の弁理士や、企業で特許実務をしていたとしても特許の訴訟やライセンス交渉を経験していない特許実務家、中小・ベンチャー企業を支援する支援機関や金融機関の中には、「権利範囲が広い」特許がよい特許だとする人もいる。

しかし、米国の特許訴訟を知っているような特許実務家から見た「よい特許」とは、係争になった際に「使える」、つまり「潰されず」、相手の事業で「使われている」特許である。真の「プロ」とは、場面や立場の違いによって「よい特許」の定義もこのように変わることを知っている者であり、一面的な見方、一つの方法論のみで以て足りると考える者が特許に通じない人々にプロとしてアドバイスをすることは、特許に対する不信感を招きかねない。

単純で誰もが思いつきそうな発明は、特許登録された場合、潰しがたいことが特許の実務家の間では知られており、今回の758特許がまさにそのような「特許にならないと思われるが、特許になり、潰しにくい特許」である可能性が示唆されている。

「価値ある特許」とは特許は制度上、「優れた発明」に付与されることになっており、制度をまっすぐ字句通りに解釈すれば、「価値がある特許」とは、簡単には思いつかないような高度で優れた発明に対して付与された特許であるように思われるかもしれない。しかし、実質的に価値のある特許というのは、「潰されにくく」「儲かる」、すなわち、「儲けが出る」事業に「使われている」特許である。758特許は、ファストリという大企業が多くの店舗で使うセルフレジに使われているのであるから、「儲ける」ことができる特許と言える。

本件訴訟の判決文によれば、758特許の無効資料には 758 特許の請求項1に係る発明特定事項のうち、下線を付した部分以外が開示されている。

「物品に付された RF タグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、上向きに開口した筐体内に設けられ、前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部、を備え、前記筐体および前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記 RF タグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。」

そして、無効資料に記載された読取装置の開口は前向きに形成されており(すなわち横穴に突っ込むようにカゴを入れる)、上向きにする動機づけがなく、上向きに開口する、つまり上から置くだけで蓋もせずにRF タグを読み取れる 758 特許の読取装置は想到容易
でないとしている。

ある程度の経験を積んだ特許の実務家であれば、進歩性の判断は、時期や技術分野などによって異なるものであることを知っている。

そして758特許の場合、RFタグの電波の干渉を防ぐ手段として、開口を前向きとしたり蓋をしたりするといった工夫のバリエーションがあるという “技術の近接度” からすれば、横穴にカゴを突っ込んだり蓋をしたりする今回の訴訟で提示された先行技術に対しては、レジ台に乗せるだけで蓋を不要とする構造とした発明に特許性(進歩性)を認めることは必ずしも不当ではない、むしろ妥当な判断と考えうる。

よって特許の実務家としては、758特許を前述した無効資料で潰すのは必ずしも容易ではなく、特許有効と判断される可能性がむしろ高いと考え、特許を無効にできなかった場合を想定しておく人も多いだろう。そして実際、758 特許は無効とされず、「潰されにくい」特許であると認定されたことになる。

【特許権を巡る建前公平実質不公平問題について】
特許の “効用” を巡る日米の違いには、ここでは踏み込まないが、こうした違いは両国の文化風土、それに根差す制度や仕組み、その運用に関する違いから生じている。日本が米国に倣ってプロパテント政策を採用した 2000 年代初め以降、中小・ベンチャー企業が大企業に伍する武器に特許がならない日本の実情については、様々な打開策が検討され、講じられてきた。

しかし、「フェア」を重んじる米国と、実績や仲間内のつながりや信用を大切に考える日本とでは、社会の構造や価値観、すなわち文化風土が異なっており、米国の制度を形式的に取り入れたところで直ちに米国と同じような “成果” が出るわけではない。

特許権の “活用” を巡り、大企業と中小・ベンチャー企業の間には、形式上の不平等はないとしても、上述した通りの実質的な “格差” がある。この “実質的な格差問題” については、特許制度の改正や裁判実務の見直しなどで是正を図るのみならず、大企業の優越的地位の濫用に当たるのではないかといった視点での是正を試みるといった、多様な角度、重畳的な対策が必要ではないだろうか。

なお、2019 年 6 月に公正取引委員会が「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」を公表している。
この報告書の中では、大企業が資金力での優位から中小企業の特許潰しに動くことについては触れられていない。

しかし、今回の一連のユニクロ特許訴訟に至った「ライセンスゼロ円の要求」が事実であるとすれば、その行為は、この報告書で問題とされている「知的財産権の無償ライセンス等を強要される」例に該当する可能性がある。特許の実務家としては、このようなケースで特許訴訟を提案・サポートするのみならず、公正取引委員会への相談などによる救済を図ることも考えたい。

 なお 758 特許は、米国や米国以上に権利者の勝訴率が高い中国で権利化されていないようであるが、もし758 特許が米国や中国で権利化されうるものであれば、アスタリスクには米国や中国の特許権(または特許を受ける権利)による資金調達や巨額の賠償金を得る途があったかもしれない。PCT日本語出願であれば、出願費用は増加するがそれも 20~30 万円程度であり、優先日から 30か月という移行期間を買うことができる。

特許実務家には、クライアントである中小企業が、海外展開、とりわけ米国や中国で展開する大企業を相手に事業を行っている場合、PCT 出願の必要性をクライアントと検討することが求められよう。

(参照:ユニクロ特許訴訟を巡る、特許についての一般的理解と実務家の現場知識の違い)
(参照:スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針 | 公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/startup.html

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「中小企業にとって知財は命である
高度経済成長期には、大企業の売上高増加に乗って中小企業も売上高を伸ばし利益を確保できた。しかし製造技術が途上国にも広がり、韓国、台湾、中国が技術で追いついてきたため、21世紀に入ってからは、先進的な技術を開発しなければ競争力がなくなってきた。

これは大企業だけでなく、中小企業も同じである。資本力のない中小企業にとっては、むしろ技術力で勝負せざるを得なくなった。そのような時代背景を考えると、知財こそ中小企業の命になってきた。

ところで、大企業が中小企業いじめをするのは、知財だけではない。値引きを強要する、代金支払いを渋る、合理的な理由のない返品をする、無理な納期を求めてくる―などこれまでも多くのいじめ態様が報告されてきた。

筆者は、長い間、中小企業の取材を続けてきたので、大企業の理不尽さと横暴さはよく聞いてきた。しかし大企業と言っても、個々の法人に人格があるわけではない。横暴さを突き詰めていくと、大企業の担当者に行きついていく。
つまり大企業の横暴さを追求すると中小企業と付き合っている部署の担当者に行き着くことになる。

これは組織の中で活動する個人(社員)の保身と功名心が、正義よりも勝っているという日本人固有の精神風土に根ざしているのではないか。
むろん、外国人にも組織で働く人間には保身と功名心はある。しかし日本企業の文化には、他人の開発した技術に尊敬の念を持ち、それを自社に導入して相当なる対価を支払うという思想がアメリカ企業よりも総じて薄いのは間違いない。

特許に対する価値判断も、特許に絶対的な価値を置くのではなく、ライバル社などとの相対的な関係で価値判断することが多く、独占、世界制覇という思想は希薄なような気がする。

日本でオープンイノベーションが拡大せず、個人発明家も生まれないのは、そのような企業文化とそれを後押しする知財紛争に対する司法判断があるからではないだろうか。

大企業が知財で中小企業、下請けいじめをする背景と根底には、このような日本の独特な精神文化があるというのが筆者の見解である。」

(引用:大企業の下請け知財いじめ 公取委の初の調査で知財横取りが明らかに
https://www.hatsumei.co.jp/column/%E5%A4%A7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E4%B8%8B%E8%AB%8B%E3%81%91%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81-%E5%85%AC%E5%8F%96%E5%A7%94%E3%81%AE%E5%88%9D%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%A7/

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日本で革新的なアイデアからスタートアップを起業して理念を貫き、生き残りヴィジョンを成し遂げる過程には多くの弊害があります。

イノベーションにチャレンジしても、スタートアップには資金、時間が限られており、事実と違っていても、正確なファクトチェックによらない中傷により、IPOができず、取引の停止などが生じることから、根回し、癒着の風土、金銭的な買い叩き、強要といったフェアではない競争環境があります。

米国の成功モデルを参考にした研究によれば、世界と肩を並べられるスタートアップを日本で生み出せるかどうか、政府の提示した2027年までの5か年計画の期間をラストチャンスとして本気の取り組みが成功できるかについては、政府調査結果にもある「意識・風土・風潮」(60%)の改善が必要となっています。また金融機関からの個人保証を要求する起業家個人へのリスクが高すぎることから、日本では多くの人が起業を恐れ、チャレンジした起業家にも厳しい環境、現実があることを改善していく必要性が報告されています。

日本では建前と本音の体裁を整えることが評価され、また曖昧にしてなかったことにする、有耶無耶にして責任を転換していく風土、風潮があります。昨今では、安芸高田市の市長による偏向報道、印象操作による日本社会の実態の見える化、SNS等の情報技術で示された、全くの虚偽を信じてしまう国民性や日本の未来が危惧されています。社会の公器の機能不全や、私利私欲にまみれた愚行に対して、大きな世論として一人一人が立ち上がりはじめていることは、日本の社会、未来を良くしていける大きな変革のチャンスにもなっています。

 日本の大企業にも、日本人の素晴らしい精神、利他の心、思いやりをもち、スタートアップと力を合わせイノベーション、社会を良くするために変革に尽力する方々がいます。しかしながら、組織内の圧力、嫌がらせもあり評価をされず、責任回避、社内政治、癒着を立ち回ることへの評価が繰り返され、事実として失われた30年の結果が作られています。先進国で日本だけで物価が上がっているなか、30年も賃金が上がらず相対的貧困者が大多数になり、苦しむ家族、子どもたちへの現実、責任を重く受けとめるべきです。

 リアル半沢直樹として、現実で起きていることを是正していきたいという思い、強い怒りのエネルギーとして社会現象となっているいま、半沢直樹はドラマだけの話ではなくなっています。責任転嫁をされ利己的に欺くことや、晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げると揶揄されること、また優越的地位の濫用が大きく問題視され現実として起きているなか、取引の停止から倒産に追い込まれてしまうことで、関係者の生活、その家族を守らなければならない中小企業では耐え忍ぶことしかできませんでしたが、一人一人が声を上げることでその悪しき慣習を断ち切ろうと時代が変わりはじめています。

インターネット、SNSの発達が大きな力になる一方で、同時に倫理観を高めていくことも大切です。

 インターネット、SNSの誹謗中傷で人の命がなくなります。また、ファクトチェックもされていない事実を歪曲する、利己的に癒着する加害者の操作された報道により、被害者の人生を破壊します。自死行動に至った人の心の健康状態として、大多数は、心理的に追い詰められた結果、抑うつ状態にあったり、うつ病等の精神疾患を発症していたりと、これらの影響により正常な判断を行うことができない状態となっていたことが明らかになっています。このように、個人の選択の結果ではなく、自殺は、その多くが追い込まれた末の死となっています。

 厚生労働大臣指定法人によると、我が国の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は主要先進7か国の中で最も高くなっています。

 年代別の死因順位をみると、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっています。また自殺の背景には、精神保健上の問題、そして生活困窮、育児や介護疲れ、嫌がらせ、いじめや孤立などの様々な社会的要因があることが知られており、決して特別な人たちの問題ではありません。WHO(世界保健機関)が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と明言しているように、自殺は社会の努力で「避けることのできる死」であるというのが、世界の共通認識となっています。

 匿名の中傷者の私利私欲のために、全く事実ではないことで人の命、またその周りの人達の人生を壊す行為に対して、侮辱罪の厳罰化などもされてきました。

 しかしながら、声を上げることで更に心なき誹謗中傷が拡散され、迷惑、心配をかけたくないとの思いから泣き寝入りをしてきた方々が多くなっている現状があります。レピュテーションリスクを利用した金銭強要、メディア、ネットを隠れ蓑にした虚偽風説流布業務妨害、偽計業務妨害、信用毀損、名誉毀損などの教唆、幇助含め共犯の重さを理解させる啓蒙、また社会がメディア、ネット上の情報を鵜呑みにして右往左往することなく、事実を確認していくファクトチェックのレベルを上げていくことが、人の命を守り、日本経済を発展させていくことにもつながります。

 事実でなくとも、メディア、ネットにネガティブな情報が流布された場合、IPOができなくなったり、取引が停止されたりすることから、それを利用して金銭を強要したり、革新的なイノベーションに対してフェアな競争ではないところで、加害者側の動機が働いたりします。また、嫉妬で誹謗中傷をするようなケースもあり、火のない所に煙は立たぬではありますが、根拠の事実が歪曲して利用され、あたかも被害者側に非があるかのように操作されたメディア、ネット中傷により、家族の命を失うことになってしまった多くの被害者が苦しんでいます。

バークシャー・ハサウェイのナンバー2で、ウォーレン・バフェット氏を長年支えてきた、マンガー氏は思慮深いアドバイスを送ることでも知られています。
「人生の偉大な教訓は、(有害な人間を)自分の人生から追い出すこと —— それも素早くだ」

またウォーレン・バフェット氏は、私たちは他人が自分を操ることができると認識するとともに、そのような状態に陥らないようにすることが必要だと語りました。

(参照:“投資の神様”の右腕チャーリー・マンガーの人生の偉大な教訓は「有害な人間を人生から排除せよ」 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-279131

 正直者が馬鹿を見る社会環境が多く生み出した、「a wolf in sheep’s clothing (羊の皮を被った狼) 」状態は、一人一人の社会の声が大きなうねりとなりその化けの皮が剥がされてきています。

【子どもの権利擁護のため優れた活動をしている若者に贈られる「国際子ども平和賞」を受賞した川﨑レナさんのスピーチ全文】

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「私がこの活動を始めたきっかけは悔しさでした。

変わりそうにない日本、自分の生まれた国、日本に誇りを持てないことについて、とてつもない悔しさを感じました。

私たち日本の若者は政治離れの世代だといわれていますが、日本の若者は政治に興味がないのではなく、政治を信頼する理由、投票する理由が今はまだ見つからないことが多いのです。

差別発言、議会中の居眠りなどを繰り返す様子が日々放送されています。

このようなことをする政治家の皆さんばかりではないのは分かっています。

市民の声を最初から聞いてくれないように見える日本の政治に、誰が協力しようとするのでしょうか。

放送されているような政治家の皆さんばかりだと日本は変わることはないでしょう。

けれども、39歳の市長が居眠りする議員に向かい『恥を知れ』と叫んだ時、日本はまだ変われる。

私はそう思うことができました。

政治家として議会で寝ないのは普通のことのはずです。

政党や思想関係なく、その普通を取り戻そうとしてくれている大人たちがいる限り、日本は私が誇れる国になれるはずです。

政治家の皆さん、私の発言は実現性がないでしょうか。

理想的すぎるでしょうか。

私たち若者は見るはずではなかったつらい、悔しい日本の現実を見てきています。

それでも理想や希望をまだ持っています。

政治家になる前にかっこいい大人になって下さい。

私たちに子どもらしく夢を持たせて下さい。

私たち日本の子どもは皆が理想とする、かっこいい日本になってくれるのをずっと待っています。

私たちはいつまで待てばいいでしょうか。」

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 2020年にユーグレナ社の2代目最高未来責任者CFO(Chief Future Officer)に就任した川﨑レナさんは、任期中は「Well- being innovation」と定義した、会社が社会問題解決に挑戦し続けていくために、アイデアや挑戦に溢れ、それを応援し続けられる文化の醸成を目指すべく、会議運営方法やオンボーディングを支える人事方針、多様性に関するワークショップの開催など、社内コミュニケーションを基軸とした策を複合的に実施しました。
(引用:2代目CFO川﨑レナが受賞した「国際子ども平和賞」。賞の概要や歴代の受賞者を紹介! – Sustainable Times_https://www.euglena.jp/times/archives/19542#

 日本人が本来もっている誠実さや真面目さ、そして思いやり、相手のために心を砕く「おもてなし精神」、心根の優しさを発揮し、圧力、嫌がらせなどの大きな痛みをともなう変革に向けて、日本の未来のために高い志で、まさに命懸けで立ち上がっている尊敬される大先輩方々もいます。若い方々の皆の力を合わせれば、いまこそ日本が再び世界をリードして尊敬される国になれることを信じています。

【ADVASAの主な取り組み内容】

①貧困、子育て問題、「社会課題の解決」と「持続可能な成長」の両立を目指すインパクトスタートアップ(社会的企業)の創出、そして風評被害、誹謗中傷における自死問題を重点領域として解決に対し支援、寄付をしていきます。

 世界不平等研究所(World Inequality Lab)が、世界的な格差の実態を調査した「世界不平等レポート(WORLD INEQUALITY REPORT 2022)」の公表では、世界の上位10%が76%の富を所有しているとしております。スイス・ダボス(Davos)で開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で発表された報告では、弱い立場にある人々の環境改善を強く要求し、例えば富裕層や大企業が報酬、利益の0.5%の寄付、還元をすれば、現在教育を受けられずにいる子どもたち2億6200万人に教育を授け、330万人の命を救えるだけの保健医療を提供しても、余りある資金を確保できると指摘しています。

②社会を良くしていける持続可能な産業の創出、日本から世界的企業になるイノベーションを起こし、日本でもスタートアップのアイデア、知的財産と大企業のリソースを掛け合わせ、共存共栄のチームJapanを確立させて発展、世界へ貢献していきます。

 内閣府知的財産戦略本部からの知的財産推進計画2023「多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会に向けて」のお役に立てるように、出資させていただいたIPwe、IPwe創業者とのジョイントベンチャーADVASA米国法人(デラウェア州)含め、ADVASAの知見、リソース、米国特許、日本特許をはじめとした知的財産、ノウハウ、プロフェッショナルの特許実務家のサポートを提供していきます。

③国内のスタートアップにおいて、起業の動機は「社会的な課題を解決したい、社会の役に立ちたい」が7割以上と筆頭になっています。日本の未来のため、世界の人々への貢献、社会問題の解決のため、米国はじめ海外展開への雇用、業務委託を行い、パートナー、OEM、代理店の仲間を集めています。

④日本の現状を打破して未来を生きる子どもたちへ、強い者が弱い者を助け、できる人ができない人を助け、持つ者が持たざる者を助けることに、声を上げて力を合わせてくれる方へのサポート、支援に尽力していきます。

⑤米国、日本をはじめ、韓国、シンガポール、台湾などアジア、アフリカ地域までカバーしたADVASAの世界特許のビジネスモデル、EWA、オンデマンドペイは、企業、就労者に手数料ゼロで給与相当額を立替えて即時で提供して、ファイナンシャルウェルネス、ウェルビーイング、キャッシュレスの推進、そして貧困問題の解決の一助としていきます。

 ADVASA米国法人では米国のシリアルアントレプレナーとジョイントベンチャーを設立しており、ADVASAのEWA、オンデマンドペイのビジネスモデル特許は米国の決済、EWAトップ企業に複数関連しています。

 ADVASAの特許価値評価は、この技術分野のロイヤルティレートは、通常3~6%の範囲になり、保守的なロイヤリティ3%算出で52億ドル、6%算出で104億ドルになります。

 米国企業との信用、信頼を構築し、米国への貢献、そして知見、経験を活かし日本の社会、経済への貢献をしていただける方々への支援、協力に尽力してまいります。

 内閣府の資料にあるシンガポールのスタートアップエコシステムをモデルとして、政府、政府系ファンドを呼び水として一気に推進することで、日本だけでも230兆円となる給与の受け取りを即時化させて流動化させます。政府主導で休眠預金を活用した立替資金を提供(大手保険会社の保険保証スキームを確立)、日本が世界をリードして給与を即時デジタル受け取りできる世界をつくることで、主要国だけでも3000兆円を超える給与を流動化させれば、日本からヘクトコーン、そしてGAFAMの次の世界を代表する企業を誕生させることができると考えます。

 またADVASAの出願したビジネスモデル特許は、WEB3時代になることを想定し、銀行口座のない17億人と言われる地域の方々にもブロックチェーンウォレットを提供することで、送金、決済手数料を安価にして金融インフラを提供、金融包摂の実現をしてまいります。

 米国での知的財産戦略からビジネスを成功させることで、2027年までに日本国内から2社を創出する100億ドル以上のデカコーン、そしてヘクトコーンの推進をしていきます。

 米国のトップ決済会社、EWA企業と協業してペイメントレボリューションのイノベーションを起こし、また相対的貧困が2000万人になる日本において、労働対価の支払いのタイムラグをなくすことを、貧困の連鎖を断ち切る一助として社会インフラにしなければなりません。その理念のもと、企業、就労者から給与前払い手数料を徴収する給与前払い事業者とは一線を画す、企業、就労者共に手数料一切ゼロを可能にしていくことで、本物の金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)を実現して大きな社会課題である貧困問題の解決に取り組みます。

 またADVASAのビジネスモデル特許として発明された給与即時アクセスのオンデマンドペイは、経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」で設定したキャッシュレス決済比率40%を2025年の大阪・関西万博に向けて実現、さらに将来的には、世界最高水準の80%を目指すことに寄与します。滞留していた230兆円を超える給与を流動化することで、給与、決済変革を起こし、OEMで解放、提供することにより、日本のキャッシュレス化の世界水準への推進に尽力してまいります。

■会社概要
会社名:株式会社ADVASA
代表者:代表取締役 小杉 朝光
所在地:東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー4階
設立:2017年4月
資本金:20億5,951万5,022円(資本準備金含む)
事業内容:
・労働者への資金提供システムの開発・OEM提供
・Fintech、AI、ブロックチェーン等のシステム開発
URL:https://www.advasa.co.jp